ようやっと辿り着いた、『TOKYO CULTURE CULTURE』。広い。解っていた事とはいえ、広い。設備もしっかり整っている。ここであのデイリーポータルの鬼才達が日がなトークショーをやっているのか。高校球児における甲子園的な面持ちで楽屋へ向かう。天谷君とNIGOROの皆さんがそこに居た。
天谷君にノートPCのアダプタを借りながら朝食。人生初のレッドブルも頂く。「今日は裏方」と話すサミエルさん、司会をして頂くフリージャーナリストの池谷さんと名刺交換。「そういやまだ、名刺交換してなかったですよね」と天谷君もサミエルさんと名刺交換。
次の瞬間、肩ごしのノールックパスで、天谷君がサミエルさんの名刺を足元のゴミ箱に叩き込んだ。
楽屋が一つになった。天谷君の天然が、顔を合わせたばかりの我々を一つにしたのだ。そこに関西関東の垣根は無い。叫ぶサミエルさん、頭を抱える我々。「いや、サミエルさんの肩書を見ようと思って…」と言っていたが、どうやったら名刺交換でそんな軌道を描けるんだ。うん、今日のイベント、多分大丈夫だ。
良い感じに場が暖まった所で、NIGOROの皆さんにMSX話を振ってみた。鋭く反応するサミエルさん。「ゲームっつうのはパッドや無くて、キーボードでするもんでしょ?」、嗚呼、間違い無い。この人、MSXの人だ。そこから一気に『IF-SEGA経由のサターンパッド』なんて話が出てきたが、天谷君以外の全員が付いてこられてる。おかしいぞこの空間。
以下、濃い楽屋のダイジェストをどうぞ。解らない人はスルーして下さい。
- ならむらさん「USBのパッド変換器は安物だとレイテンシが…」
- サミエルさん「キーボードのほうがコマンド入力しやすいし、レイジングストームまでなら出せる」
- ならむらさん「まあ、立ちスクリューくらいなら…」(僕も同意)
- サミエルさん「エンターキーじゃなくてリターンキー」
- ならむらさん・サミエルさん「子供にはMSXでスパルタ教育」
- ならむらさん「LA-MULANAは最初、画面切り替えではなく8ドットスクロールだった」
- 天谷君「1ドットスクロールじゃダメなの?」 サミエルさん「MSX嘗めとんか!」
- サミエルさん「1ドットスクロールと言えば、テセウスは超難解版もクリアした」
- ならむらさん・サミエルさん「星のスクロールはキャラクタの書き換え」
- ならむらさん「画面の端っこにこう、マスクをかける為の黒いスプライトを並べて…」
- サミエルさん「グラIIIはバックスプレッドにスネークオプションが最高」
何時代の会話だこれ。MSXの話で盛り上がれたのなんて、いつ以来か思い出せない。更にサミエルさんの「最初に買ったコンシューマ機はNEOGEO」発言で大興奮。実は僕も最初に買ったコンシューマ機が、NEOGEOなのだ。まさか同じような経緯を持った人が居たとは。MSX→NEOGEOって。ちなみに、最初に買ったソフトは、サミエルさんが『龍虎の拳』、僕は『餓狼伝説スペシャル』だった。
程無く、天谷君のプログラムの師匠であるnaoさんも到着。実は僕、話すのは専門学校1年の時以来だ。きっと覚えてないだろうなあと思いながら話していたのだが、ふと僕の記事をトラックバック(+はてブ)してくれていた事を思い出して告白してみたら、「あ!」とnaoさんの記憶が繋がった。凄く嬉しい。
また、ナオクさんとも会う事が出来た。デバッグ掲示板で1年以上やり取りをした仲間なのだが、実際に会うのはこれが初めて。天谷君も、つい先日Skypeで初めて顔を合わせたらしい。発掘された掲示板のログ、ナオクさんもしっかり読み直したそうだ。お互いグッと来るものがあったが、一番大変だったのは天谷君だと思う。
会場の設営に入りながら、気になった事を聞いてみる。今日のイベントは、プレイヤー向けのトークなのか、開発者向けのトークなのか。前者ならば、キャラクターの背景や天谷君の世界観の話をメインにしたほうが良いだろうし、後者ならば操作系統の話やレベルデザイン等の話がメインになる。PANDAさんからの返答は、「会場の空気見て考えましょう」だった。確かにこればっかりは、見てみないと解らない。ニコ生の反応も気になる。
程無く設営も終わり、会場のカーテンが引かれる。11時、お客さんが並び始めたとの連絡が。PANDAさんが楽屋のカーテンを何となく開いた瞬間「ヤベェ!」と叫んだ。僕らもコッソリ覗いてみたら、そこには長蛇の列が。チケット完売で当日分も無くなったとは聞いてたけど、実際お客さんの数を目の当たりにするとビビる。大体、僕らもNIGOROの皆さんも、こういうイベントをやるのは初めてなのだ。
天谷君もカーテン越しに外を覗きに行く。数瞬後、連れ去られた子犬のような表情で「怖い~」と震えながら帰ってきた。楽屋大爆笑。何故この時カメラを構えておかなかったのか。あまりの恐怖で、ホワイトボードに絵を描き始める天谷君。便乗してならむらさんも絵を描き始めた。二人とも、下書き一切無し。凄い速さで描きあげていく。この絵、後に名言を残すキッカケとなる。
僕はまだ顔を知られていない(別に知られても何の問題も無いのだけれど)ので、開演前の会場を撮影して回って楽屋で報告して回ったのだが、その中で親子4人で参加して頂いているお客さんを発見。後程解ったのだが、実はこのご家族はゲーマー一家で、最初に開発室Pixelを探し当てたのは、何とお母さん(いかちゃん時代)。兄妹は小学生だそうで、お兄ちゃんが誕生日プレゼントとして、このイベントに参加したいと言ってくれたのだそうだ。
これを聞いて、「プレーヤーの年齢層が幅広いとは聞いてたけど、まさか家族で…」と天谷君大歓喜。ならむらさんが、「こりゃひょっとすると、キャー天谷サーンとか黄色い声出るで」とニヤニヤしている。NIGOROの場合だとどうなりますか、と尋ねたら、「ヴォーってなるに決まってるじゃないすか、ウチの客層に家族連れとか居ると思います?」とサミエルさん。僕、そのイベント行きたい。
12時。間もなく、イベントが始まる。楽しい楽しい一日が。